シャトー・サン・ロー(Château Saint-Lô)とタイ王国


シャトー・サン・ローの歴史は古くからタイ王国の歴史と結びついています。

ルイ14世の時代にまで遡るフランスとシャム王国(現タイ王国)との関係は、1893年になって難しい局面を迎えました。フランスはメコン川左岸の領有を狙い、タイの沿岸を封鎖しました。

フランスにおいては、フランス政府に対するシャム王国のスポークスマンを務めていたVaddhana王子が後に在パリ シャム王国領事に任命されました。そして、武力衝突を避けるために熱心な外交努力を続けた以外にも、ボルドー産ワインを購入して外務大臣であるDevawongse王子に送り届けました。

Vaddhana王子が注文したメドックの格付けワイン6種類のリストの中に、1つだけ含まれていたリブルヌのワインが“サン・ロー48本”でした。

それから約100年の後、在ボルドー タイ王国領事であるPathom Vongsuravatana (Wongsurawat)(11ページにリンク), はこのワイナリー売却の話を聞きつけ、ワインに情熱を傾ける30人ほどのタイ人を集めてこれを買収しました。

1995年、タイのBhumibol Adulyadej国王の即位50周年(Golden Jubilee)に際して、同国王はシャトー・サン・ロー (13ページにリンク)に対し、ラベルに即位50周年を記念する紋章を掲げる特権を与えました。また、国王は72歳の誕生日の際にもこの特権を再び認めました。

90年代後半にはタイ王国国王の依頼を受けて、シャトー・サン・ローはタイに進出し(17ページにリンク)、ナコーンラーチャシマーとペッチャブーンの2つの地方におけるブドウ園の設立に参加しました。

今日でも、特別キュベ« マハーラチャワン(Maharachawang) »が、長い年月とともにシャトー・サン・ローとタイ王国との間で築かれてきた密接な関係の記憶をとどめています。« 東洋のグランクリュ » 17ページ2へリンク)、« アジアの時代 ». 17ページ3へリンク)などとして、記事にも取り上げられています。